お子様の成長がスムーズに進むためには、成長の特徴を理解して適切な環境を整えることが大切です。幼児期最初の0歳から3歳までのお子様の特徴と、それに対する環境の整え方についてお伝えしたいと思います。
幼児期(0歳~6歳)の成長の特徴
出生後1~2ヶ月で脳細胞の数は1000億個に達し、それ以後は変わりません。
その後、神経細胞が3歳まで増加。
3歳からは必要な神経細胞が強化されて、5歳までで脳の基礎が形作られます。
幼児期は、幼児前期(0~3歳)と幼児後期(3~6歳)で成長の特徴は大きく変わります。
幼児前期(0歳~3歳)
- 脳のハードウェアがつくられる時期です。
- 無意識のうちに、手や口を始め五感で世界を探索し、活動します。
幼児後期(3歳~6歳)
- 脳のソフトウェアがつくられる時期です。
- 環境の刺激や情報により発達してきた各部分が組織・統合化されます。
- 手の洗練した動きや感覚器官の発達が成長を促します。
幼児前期は「吸収精神」と「運動」
赤ちゃんがまわりのモノをつかみ、口の中によく入れたりしますね。
歩くようになったら、いろいろなところに行ったりものをつかんでポイ。
「何かと世話がかかって大変!」
と思われるかもしれませんが、こうした動きは成長のための本当に大切な活動です。
まだ意識を持っていませんが、無意識に、口や手など五感を使ってまわりの世界を探検し、確かめているのです。
こうしたまわりのいろいろなものを確かめたり確認しようとする精神は「吸収精神」と呼ばれています。
この「吸収精神」により環境からあらゆる情報を積極的に取り入れているのです。
言語や習慣、文化といった大切な情報が子どもの心の中に根を下ろし、様々な情報が将来の豊かな知識の土台になります。
生まれた瞬間から「吸収」しようとする強いエネルギーに突き動かされて、活発に「運動」することでまわりの情報をぐんぐん吸収。
- 吸収精神
- 運動
この2つの活動により、子どもが成長します。
「運動」では、手の動きがとても大切です。
1歳を過ぎたころからつかむことに興味を示し始めますが、手を使いこなせるようになると同時に、手を通して環境の情報を吸収しているのです。
0歳から3歳のお子様にふさわしい環境
幼児前期(0~3歳)でいろいろな環境の情報を吸収し、内面に蓄積。
幼児後期(3~6歳)で、それらの印象が整理されていきます。
お子様の行動は、すべてお子様の成長につながっています。
また、まわりの環境から印象や情報を無意識にぐんぐん吸収します。
いつも愛されているという安心感が育まれ、美しい言葉や音楽、落ち着いた雰囲気、豊かな文化や自然が身辺にあることが大切です。
幼児前期(0~3歳)では、特に次のようなことを心がけてはどうでしょうか。
①一定の所にじっと寝かせておいたりせずに、多くのものに囲まれてたくさんの刺激に接すること
赤ちゃんの場合はまだ自由に動かないので、つい寝かせておきがちです。
動くことができなくても、目や耳でまわりの情報をぐんぐん吸収しています。
語りかけやゆっくりと動くモビール、散歩など刺激を与えるようにして上げてください。
②何でも触りたがる子どもの行動を止めさせないこと
手が動くようになるとハイハイしたり歩いていろいろなものに触れたがります。
整理したものが乱雑になるので、つい止めたり、興味のあるものを離したりしてしまいがち。
お子様の中で、「吸収の精神」が活発に働いている。
お子様は、一生懸命成長しようとしている。
そう理解して、危険なこと以外はどうぞじっくりと見守ってください。
③大人が美しい言葉と豊かな表現で話し、落ち着いた振る舞いをしている場所にいること
スポンジが水を吸うように、五感で環境からの情報をぐんぐん吸収しています。
まだ話ができない、大人の動作が理解できないからと、まわりの大人が気軽に振る舞う様子を、お子様の目や耳がしっかりとらえています。
その印象や情報がどんどん蓄積されます。
お子様にしてほしい振る舞い方や話し方を心がけるようにしてはいかがでしょうか。
お子様は成長しようと一生懸命
街中でベビーカーに乗った小さなお子様とすれちがいます。
ベビーカーの中で何かを見たり、小さな手を動かす様子が目に入ります。
「五感を活発に働かせて成長しようと一生懸命に活動している」
そう思い、そのお子様に見とれてしまいます。
幼児前期(0~3歳)のお子様に環境を整えることが、お子様の人生にとっての一番の贈り物。
育児は本当に大変です。
お子様の素晴らしい成長があるからこそ頑張れるのですね。
どうぞ、やさしい笑顔とお声掛けを絶やすなくことなく、お子様に注いであげてくださいませ。