東京で働く娘の紹介で、美甘(みかも)さんがバンビー二クレアーレに見学に来られました。医療ビジネスに関わる中で教育にも高い関心を持ち、モンテッソーリ教育の現場を見てみたいとのこと。
幼稚園児クラスを見学いただき、お話をさせていただく中で、新鮮で深い気づきを頂くことができました。
社会の未来を担う教育に注目
大学で経営学を学ぶ中で社会問題の解決に高い関心を持った美甘さんは、2年前に医療関係のベンチャー会社に就職。タンザニアとベトナムなど海外で病院の再生・立上げに取り組んでこられました。
その中で、モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園を立ち上げようとされている方と出会う機会があり、
- これからの社会をよりよくするためには教育が大切
と強く感じるとともに、モンテッソーリ教育にも高い関心を持たれました。これからの時代は
- 自分で考えて自分で切り開いていく力がとても大事
と考え、従来の教育によるいろいろな説明や指示で細かく子供をガイドしながら習慣づけしていくメソッドだけでは不十分だと感じていた美甘さん。
図書などを通してモンテッソーリ教育に触れる中で、
- 自分で考えて自分で行動するように援助する
メソッドに深く共感されました。
モンテッソーリ教育の現場を見てみようと情報を集める中で、東京で働く娘の友人からバンビー二クレアーレの情報を得て、私たちとコンタクトを取り、あっという間に東京からお越しくださいました。
見事な行動力です!
モンテッソーリ教育を体験
幼稚園児・金曜日クラスのレッスンを見学いただきました。
モンテッソーリの個別活動では、生徒がお仕事に取り組む様子を見て、
- 自分の興味があることに自主的に取り組んでいます
- 終わったら次、終わったら次と活動を続けています
- ひとつのことに対する集中力が素晴らしいです
とのうれしいコメントをいただきました。
また、実際に年長のお友だちと感覚教具を使った活動に取り組んでいただきました。
種類の異なるはめこみ円柱の教具を使ったゲームです
- はめ込み円柱を全部出し、混ぜます
- 順番にはめ込み円柱を選んで枠にはめていきます
- はまらなかったら1回休み、先に全部のわくをはめた方が勝ちです
サイズが微妙に違うので、大人でも間違えてしまいます。
ゲームを楽しみながら、美甘さんとお友だちの会話がはずみます。
子どもと同じ目線でのコミュニケーションが本当に素晴らしいです。
初めての方なのにお友だちは恥ずかしがることもなく、活動を楽しむことができました。
リトミックを体験
リトミックの前に、みんなで「線上歩行」を行いました。
鈴や水の入ったグラスなど自分で好きなものを選んで持つ
ピアノの静かな音に合わせて、鈴の音が鳴ったりグラスの水がこぼれないように、バランスをとって静かに歩く
前に出した足のかかとを後ろの足のつま先につけるようにして白線の上を一歩ずつ歩く
心を落ち着かせて歩くことに集中することがポイントになります。
美甘さんにも、お友だちといっしょに線上歩行を体験いただきました。
そのあとのリトミックもじっくり見学いただき、次のようなコメントを頂きました。
- 小さい頃からやることで、頭ではなく体で覚えることができるのがポイントですね
- 無理やりやらせないのがいい感じです
- 線上歩行は大人の私でも難しく感じました
リトミックは初めてとのことでしたが、リトミックの良い点をしっかりと見抜いてさすがです。
本当にうれしくなりました。
新鮮な質問に新たな気づき
レッスンのあとに、お話をさせていただく中で、ご質問をいただきました。
ふだん当たり前に行っていることをあらためて考えたり、初めての質問にお答えする中で、たくさんの気づきを得ることができました。
そのQ&Aを紹介させていただきます。
Q.モンテッソーリの活動を「お仕事」と呼ぶのはどうしてですか
A.「遊び」は楽しむという意味合いが大きいように思います。
モンテッソーリの活動は、子どもが今の自分に必要な活動を自分で選んで行います。
成長に必要な活動ということで、あえて「お仕事」と呼んでいます。
Q.活動をどこまでいっしょにやってどこから任せるようにしているのですか
A.慣れないうちはたくさん関わりますが、子どもの活動がつながってきたら見守るようにしています。
「わからない」「どうするの」と聞かれたら、援助します。
お仕事を「どうやってするか」ということよりも、「何を選ぶか」ということが迷ったり、難しく感じるようです。
慣れるうちに自分のやりたいお仕事を自分で選べるようになります。
Q.なぜモンテソーリ教育とリトミックを組み合わせているのですか
A.モンテッソーリの活動はひとりで行う活動で、手先など微細運動が発達し、主体性や考える力がつきます。
リトミックは集団で行う活動で、全身を使った粗大運動が発達し、感性や情緒面での発達を促します。
また、集団活動を行う中で協調性やコミュニケーション力が身につきます。
モンテソーリ教育とリトミックを組み合わせることで、幅広くお子様の発達を促すことができると考えています。
Q.教室に通うと子どもはどのようになりますか
落ち着きがなく散漫な状態から、落ち着きを持って活動に集中するようになるなど人格的な面で大きく変わります。
また、自分で選んだり、好みをしっかり持つなど、学びに向けた基礎的な態度が培われます。
協調性を持ち、他人に嫌な思いをさせるようなことをしないといった社会性の面でも感心させられることが多いです。
Q.モンテッソーリ教育は、家庭でもできるような気がするのですが。
実際には、お母さまにとって自分の子供を冷静に見守ることは難しいと思います。
0歳児、1歳児の親子教室では、お子様といっしょに活動をする中で、見守りかたや援助の仕方を学んでいただくようにしています。
また、2歳児クラスや幼稚園児クラスでは、月に1度、活動について説明したり実際に体験いただくことで、理解を深めていただくようにしています。
お子様の一番大きな環境は、なんといっても家庭です。
家庭でのお父様やお母さまの関わり方が一番大切になります。
これからは自分で意思決定できることが大切
美甘さんは、海外で医療事業の立ち上げにたずさわる中で、わからないことばかりだったと語ります。
でも何とかしなければいけない。
- 自分で考えて自分で意思決定をする
このことが本当に大切だと痛感されたとのこと。
現状の教育を振り返ってみると、
- 方法は合っているのか
- なぜそれをしないといけないのか
といった点が意識され、正解を求める論理性を重要視しています。
答えの出ていない問題や新たな課題に取り組む場合には、
- 何が課題か考え、発見する
- 試行錯誤で解決策を探る
といったデザイン思考的なアプローチが重要だと強く感じたそうです。
医療、教育など社会課題に本格的に取り組もうとしている美甘さんは、デザイン思考を深く学ぼうと、会社を辞めてコスタリカに新しくできる専門的な学校に留学することに決めました。
社会課題に取り組むという大きな目標をかかげ、新しい世界に飛びこんでいく姿は本当に見事です。
美甘さんの素晴らしい行動力の根底に
- 自分に向き合い、主体的に考える力
があるのだと感じました。
教室に来る前に近くの喫茶店に寄ったそうです。
初めてなのに、高齢の店主と打ち解けて、帯や扇子をいただいたとのこと。
明るく誰とでも打ち解けるコミュニケーション力も見事です。
- 自分の目標を選ぶ
- 実現に向けて、自分で考え、行動する
- 豊かなコミュニケーション力と協調性で、周りの人を豊かにする
まさしく、モンテッソーリ教育の目指す
- 幸せな大人になるための力をつける
お手本のひとつだと感じました。
美甘さんのような方が教育に関わり、子どもたちから「幸せな大人になる力」を、ひき出していただければ、どんなに心強いことでしょう。
今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げています。