リトミックの本で知り、30年間あこがれていた石丸由里先生のリトミック講習会に参加。
日本トップの技術と指導によるレッスンを体験することができました。
また、モンテソーリ教育と深く共通する考え方にリトミックの良さを再認識しました。
石丸由里先生のリトミック講習会
12月26日に東京の国立市で開かれた石丸由里先生のリトミック指導者講習会に参加しました。
石丸先生は、国立音楽大学のリトミックを専攻され、ロンドンでダルクローズ・リトミックを国際ライセンスを取得されました。
国立市でユリ・リトミック教室を主宰する他、全国でリトミック・プログラムを開催。
NHK 教育テレビ音楽番組制作を担当するなど40年にわたり、リトミックの普及に力を注がれてきました。
実は、幼稚園に勤めていた20代に石丸先生の本に出会い、いつも参考にさせてもらっていました。
いつかお会いきればと、30年以上にわたり「あこがれの先生」でした。
ユリ・リトミック教室のホームページに、12月26日開催される講習会の案内があるではありませんか。
年末でバンビーニクレアーレのレッスンも終わっているので、思い切って申し込みました。
夫もリトミックを勉強したいと言うので、夫婦での参加です。
素晴らしいリトミックを体験
午前に10組の親子が参加した体験レッスンを見学。
午後はリトミック講習会を受講しました。
レッスンの様子
午前10時30分から12時で、教室でのリトミックの体験レッスンを見学。
レッスンの内容について説明もいただきました。
1歳から2歳ぐらいのお子様が親子で10組参加されています。
スタートは、子どもが親の膝の上でリトミック。
手を握る、ひらく、指をたてる、指でほっぺを押す、指で頭をさすといった手の動きをピアノに合わせて行いました。
立ちます。
円形のパッドを持ってリトミックです。
進む、止まる、下がる、走る、止まる、バックといった動きをどんどん行います。
続いて円形のパッドを床に置いてリトミック
身体を曲げる、片足で立って曲げる、足を入替え曲げるなどの動きを行います。
坐ってパッドをいろいろなリズムでたたきます。
今度は、親子で向かい合ってリトミック。
両手や片手を合わせる、押す、引くなどの動きを行います。
最後はソルフェージュのレッスン
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」に合わせて、開いた両手をあげていきます。
「ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」に合わせて、下げていきます。
「ド・レ・ミ―」「ミ・ファ・ソー」「ド・レ・ミ・ファ・ソ」
いろいろな音の高さにあわせて、手の高さを調節します。
先生の呼びかけに合わせて、同じ音程で声を出します。
「みなさん」 「はーい」
「〇〇くん」 「はーい」
あっと言う間にレッスンが終わりました。
テンポの心地よく止まることのないピアノに合わせて、いろいろな動きをどんどん行うので、小さなお子様は飽きることがありません。
泣いたりぐずったりすることはほとんどありませんでした。
本当に素晴らしいレッスンでした。
リトミック講習会
午後の講習会には、私達の他にリトミックの先生や国立音楽大学の学生さんなど8名が参加。
石丸先生によるリトミックのレッスンを実際に体験しました。
「タン・タン」の手拍子のあとに、言葉やポーズを入れて順番にまわします。
自分の名前や苗字などの言葉を言うのですが、びっくりしたのは「反対」。
自分の名前を反対から言わなくてはいけないので、脳がフル回転です。
名前の感じをポーズで表現します。表現しにくい場合には、丸、三角、四角の中で自分のイメージに近いものといったやりやすい内容に替えて行います。
2人組になっての活動です。
タン・タン・タン・タン/〇・〇・〇・〇/タン・タン・タン・タン/〇・〇・〇・〇/
タン・タン・タン・タンで手拍子、○・〇・〇・〇でポーズを交互に行います。
ポーズは、上下、右手と左手で違うことなどでバリエーションが広がります。
2人のうち一人がポーズを行い、残りの一人が次のポーズでまねをします。
ただまねをするだけでなく、相手と逆さのポーズをとったりとバリエーションがさらに広がっていきます。
さらに、パッドを使った複数人でのカノンなど高度なリトミックも実際に行いました。
夫は初めての講習会でできるのか心配していましたが、太鼓や合唱などの音楽に日頃触れていることで、何とかついてきていました。
ご苦労様です。(笑)
リトミックのポイント
実際にリトミックを体験しながら、いろいろなアドバイスをいただきました。
その中で、印象に残っていることを紹介したいと思います。
①音で示す(言葉で示さない)
音楽は言葉を使わないで示すことができる唯一の方法です。
次の行動に入る前にその動きがイメージできるような音を入れてあげることで、言葉を使わずに動きを示すことができます。
また、音楽を止めないようにすること。
言葉を入れたい場合には、音楽を流しながら言葉を入れます。
リズムに乗って音を出さない「サイレンス」で子どもの注意を促すことができます。
②空間で音を表現する
基本のリズム要素は、8分音符、4分音符、2分音符で、長さが2倍ずつ増えていきます。
それぞれの音符の長さに応じたボール(球)を空間に生み出す感覚を持つことが大事です。
8分音符でテニスボールぐらいの大きさをイメージしてください。
ボールの直径を2倍、4倍にしていくと、体積は4倍、8倍になります。
音符の時間に対応した空間を意識しながらリズムを感じて身体を動かすと、豊かで音楽の流れに沿った表現になります。
③過程を大切にする
リトミックは、できた、できないといった結果に価値を置きません。
あくまで過程を大事にしています。
また、生徒にできないことが生じた場合は、指導の問題になります。
生徒に寄り添い、生徒に合わせたレベルのリトミックを提供して、できることを自然に積み重ねて、レベルを上げていくことが大事です。
リトミックの効果
また、石丸先生はリトミックの効果を次のように考えています。
①自分で考える力
リトミックは、音楽を聴いて何をするか自分で考えて行動することになります。
言葉での指示がないため、「教えられている感」もなく、自発的な意識がしっかり育ちます
②集中力
いろいろなバリエーションに対応するため、その場その時によく見て聴く必要があります。
また、短期記憶がしっかり鍛えられます。
③社会性
グループでリトミックを行うと、自然に他の人の行動を見ます。
他人がどうしているか、それに対して自分はどう行動するか、まさしく社会性が養われます。
石丸由里先生の伝えたいこと
最後に石丸先生は、こうおっしゃいました。
音楽に身体があった時の気持ちよさ。
これは言葉にできない感覚ですね。
これを味わってほしいなと思います。
これからの子どもたちは世界に出ていきます。
いろいろな考え方と共存していかなければいけないので多様性を受け入れる感覚が育ってほしいと思います。
子どもの成長スイッチを探し当てて、成長を後押ししていきたいですね。
講習会を終えて
石丸先生はピアノをまったく止めません。
バリエーションの豊富さと見事なピアノでシーンを設定して子どもを導きます。
ピアノの流れに乗りながら、言葉を投げかける時でも
子どもの状況を把握しながら、いろいろな課題を楽しく設定することで、子どもは飽きることなくレッスンを楽しく夢中で過ごします。
音楽で環境を設定することで、子どもの自発性や集中力、社会性が育ちます。
また、音楽と一体になった身体の動きを体験することで、かけがえのない達成感を味わい、豊かな心が育ちます。
モンテッソーリとリトミックの共通点にあらためて触れることができました。
石丸先生、本当にありがとうございました。
これからも、リトミックやモンテッソーリ教育の研修にできるだけ参加して、日頃の活動を見直し、レベルアップをはかっていきたいと思います。
来年に向けて、やる気をみなぎらせつつ、東京駅のプロジェクションマップを楽しませていただきました。(笑)
皆様、どうぞ、よいお年をお迎えくださいませ!