お子様が成長するといろいろな活動をしてほしいと期待が膨らみます。また、モノを壊したり人に乱暴をして思わず「怖いママ」に変身。育児では、「どのように活動をさせたらいいのか」と「どうやって止めさせたらいいのか」が悩みどころですね。モンテッソーリ教育で大切にしている自由と規律の考え方をもとにを育児のポイントをお伝えしたいと思います。
育児の悩みごと
すくすくと成長されるお子様。
2歳前後になると、随意筋の発達で身体がよく動くようになります。
また、意思も芽生え始め、「イヤ」とはっきり表現し始めます。
赤ちゃんぽさがすっかり抜け、しっかり成長されたお子様に期待が膨らむのですが、
- 目移りがしたり興味が長続きせず、ひとつのお仕事に集中してくれない
- 同じお仕事ばかりをして他のことをしてくれない
といった期待はずれなお子様の行動にがっかり。
- 身体が動くようになって、ものをふりまわしたり、人に乱暴にする
といった残念なケースも、起こりがちです。
- どんなお仕事をどのようにさせたらいいのか
- 乱暴なことをしたりしたら、どうやってやめさせたらいいのか
が、教室のお母様の悩みどころ。
2歳に限らず、幼児期の子育てでお母様がぶつかる壁ではないかと思います。
自由の保障
相談されたときに、お子様の様子を見ながら具体的にアドバイスさせていただています。
アドバイスのベースは、モンテッソーリ教育のつぎのような考え方です
- 子どもは自分で成長・発達する力を持っている
- 大人の役目は、子どもを援助すること
そのために、子どもに次のような活動の自由を保障していただきたいと思います。
- 選択の自由(何を選んでもいい)
- 運動の自由(どうやってもいい)
- 作業を止める自由(いつ終わってもいい)
- 作業を続ける自由(何回繰り返してもいい)
お子様が同じ活動を繰り返していると、
「こればかりして大丈夫?」
と不安になり、他のことをしてほしくなります。
活動に集中できなかったり、人の活動を見ているばかりだと
「なぜ、じっくり取り組んでくれないの?」
と不安や焦りの気持ちを持たれるのではないでしょうか。
こういった活動をする・しないは、お子様の自由。
お子様の活動は、すべてお子様の成長につながっているのです。
同じことを繰り返すことで、その活動に必要な随意筋や感覚の発達が促されます。
発達が十分できると、自然に次の活動に移ります。
安心して見守ってあげてください。
活動に集中できない場合は、お子様の成長・発達にふさわしい活動を探索しているときです。
焦らずに見守ってあげてください。
お子様の様子をよく見ながら、いくつかの活動を促してあげてもよいですね。
規律を求める
お子様の成長・発達に向けた活動は、「お子様が自由に」が基本です。
ただし、周囲へ悪影響を与える次のような活動は止めさせます。
- 本人や回りの人・ものが危険なとき
- 家族や集団のルールに反するとき
身体が発達してくると、大きなモノを動かすことができるようになります。
モノを投げたり、動かして、モノを壊したり、人に当てたりすることが起こります。
他のお子様が自分のテリトリーに入ってきたり、モノを取り合ったりする場面で、相手に手を出すケースもあります。
お子様の様子を見守りながら、そういった行動が出そうになったら、止めてあげてください。
残念ながらそういった行動をしてしまったら、注意をしてあげてください。
教室では、次のような点に気をつけながら、注意をするようにしています。。
- 感情的にならない(問題にあたると感情的な態度を示す習慣がつく)
- 本人の自尊心を傷つけない(人前で注意しない)
- 注意した理由を説明し、辛抱強く繰り返す
注意をしなくてもすむように、次のように環境を整えることも心がけています。
- なるべくルールを減らす
- 集中できる環境を用意する
- 不用意にモノを置かない
ご参考になれば幸いです。
お子様が楽しく過ごせるように環境を整えることと、やむを得ない場合はきちんと注意してあげてほしいと思います。
適切に注意することは難しいですね。
でも、愛情を注がれるお母様やお父様の注意がお子様に一番届きます。
辛抱強く続けることで、お子様のモラルが育まれ、身につくことと思います。
育児のポイント
育児のポイントは次のようになります。
- 見守る
- 制限する(選択肢を制限して選びやすくさせる、小さいときに有効)
- 環境を整える(なるべくルールを減らす、集中できる環境を用意する、不用意にものを置かない)
- 注意する
難しく感じるかもしれませんが、心がけていることで見についていきます。
1人目のお子様が教室に通われ、2人目のお子様もと来られるお母様は、このようなポイントでお子様の活動を援助されています。
育児を楽しんでいる余裕にあふれ、素晴らしいです。
規律を身につけることは、人の特性
マリア・モンテッソーリの講義内容を記録した貴重な本「1946年ロンドン講義録」の中で、「社会的な適応と発達」という項があります。
そこでは、マリア・モンテッソーリが人間の本質的な特性・本能について語っています。
私は、次のように理解しました。
人の本質的な特性・本能
①幸せを求める
- 移動する、とどまって活動する
- 言葉と手を使った仕事
- 美術や音楽を好む
- 場所や集団に対する愛着
②自制する
- 自分の力、生活や愛を抑制するなど自分たちの生活にいくつかの制限を課す
③自己犠牲をいとわない
- 属する集団の中で苦しむ用意がある
自制や犠牲の精神を、人の本質的な特性と考えていらっしゃいます。
自由と規律が大切なのは、自分が幸せになり、まわりも幸せになるため。
お子様の規律を育むことは、人としての素晴らしい本質的な特性を育み、幸せな大人になるためなのですね。
お子様に求めるだけでなく、私達大人もこういった特性をしっかりと高めていきたいと感じました。